デジタルハリウッド大学小田切元太
Story #4

デジタルハリウッド大学
小田切元太

生き物たちのリアルさを追求。
見る者を惹き込む映像制作を加速させるマシン

デジタルハリウッド大学で、3DCGや映像などを学んだ小田切元太さん。彼は『Camof(カモブ)』と題した卒業制作で「生き物にストレスと警戒心を与えることなく、撮影者は安全に、これまでとは違った方法で映像を撮影すること」をテーマに、自然界に存在するモノに擬態させたカメラアクセサリーを開発。その制作をサポートしたのが生き物たちをリアルな色彩で再現するConceptD CP3と、負荷の高いワークロードにも耐えられるConceptD 500だ。見る者に新たな価値を与える、彼の作品づくりとは。

好きなことに全力を注げる時間だからこそできた、生き物への愛を込めた作品

好きなことに全力を注げる時間だからこそできた、生き物への愛を込めた作品

――今回のテーマを選んだ理由を教えてください。

きっかけは「生き物ヘの愛」です。僕は幼い頃から生き物オタクで、多くの生き物を飼育してきました。ただ見ているだけでは満足できなくなったとき、BBCの「Spy in the wild」1シリーズを見て感銘を受けたんですよ。それには、動物の形をしたロボットカメラで、クローズアップ・ショット2を撮影する画期的な手法が使っていました。研究資料としても使えるような、警戒していない生き物のリアルな姿を撮影していたんです。

この撮影方法ならば、身近にいない生き物を普通では見られないような角度で映像化できる。たとえば、日本ではめったに見かけない「2メートルを超えるような蛇」を間近で撮影した動画があったら、好奇心を煽られますよね?生き物に興味がない人でも、「こんな至近距離で見られるなんて」と食い入るように見てしまうでしょう。それがきっかけとなり生き物に興味を持てたら、「生き物を苦しませないように地球環境には配慮しよう」と思えるかもしれない。そうなれば、不幸になってしまう生き物を減らせるだろうなと。そう考えて、生き物のなるべく近くでストレスを与えずに撮影することをテーマにしたんです。

――卒業制作は、いつ頃からスタートしたんですか?

2018年10月からですね。もともと「卒業制作ではこのテーマを選ぼう」と考えていました。ただ、ロボットカメラの制作が必要で、それは難しいだろうと挫折しかけて一度は違うことをやろうとして。そのとき、ゼミの担当教授から「キミ、それが本当にしたいことなの?」と言われ、「やっぱりこれがしたい」と戻ってきたんです。

好きなことに全力で取り組める期間って、人生にそう何回もあることじゃない。仕事などに追われることなく、やりたいことだけに全力でフォーカスできるのは学生の今だけなのかなと。それができるように大学側もバックアップしてくれましたから。周りにメンターとなる方がいてくれたおかげで、道を踏み外すことなく前進できた感覚があります。

高速3Dスキャン可能なマシンスペックでコア作業に集中

――生き物のありのままの姿を撮影しようと、石に擬態させたカメラアクセサリー「Camof」を制作されたそうですね。

そうなんです。BBCで使われていたようなロボットカメラは、高額な開発費がかかってしまいます。それをより安価にして民間に普及できたら、生き物オタクとしては気持ちがいいなと。そこで、第一弾としてカメラを「石」に擬態させました。実際の石を3Dスキャンして、カメラ位置などの編集を加え、3Dプリンターで出力しています。この外装を作るのに、大学で学んだ3DCGの知識が活きましたね。
3Dスキャンではマシンスペックが必要なんです。以前は石をスキャンするのに約20時間かかっていましたが、処理速度の早いConceptD 500のおかげで、約3〜4時間で終われるようになって。こういう重いデータを処理するときって、ファンの音が大きくなるイメージがありました。でも、このPCは意識して聞いたとき、「あ、鳴ってるな」とようやく気づくような音の大きさだったから、気づけば処理が終わっていた、なんてこともありましたね。そんなふうにして効率化できた時間は、撮り溜めてある映像の構成作業に充てているんです。その作業が難しく、とくに時間がかかるので。

――「石に擬態させたカメラ」は何タイプ制作されたんですか?

6タイプです。課題点を見つけるために、野生環境下などで5〜6回の実証実験を繰り返しています。石垣島でのテストでは、森林のなかにあまりにも馴染みすぎて見つからなくなり、1台なくしちゃいましたが(笑)。そうやって課題点を見つけながら、バッテリーの排熱や、水中撮影での課題などに対応できる形へとアップデートさせていきました。大型の肉食獣を撮影できる、強度の高いタイプも作っていますよ。それで動物園のホワイトタイガーを撮影しましたが、ガリガリとかじられても、ほぼ無傷でした。

肉眼で捉えた色を、そのまま映像に落とし込む

肉眼で捉えた色を、そのまま映像に落とし込む

――「Camof」を使って、ほかにどのような生き物を撮影しましたか?

野生環境下では、絶滅危惧種の「ヤシガニ」や弱肉強食の世界といわれるサンゴ礁の魚を捉えた映像などの撮影にも成功しました。「この角度から生き物を見られたら気持ちいいだろうな」と考えながら撮影していますね。僕は生き物の細かなところまで見られる4Kで撮りたくて。そうすれば「この生き物ってこんなところに毛が生えているのか!」みたいな新たな発見もできますから。ただ、モニターが4Kに対応していないと、せっかく4Kで撮ってもフルHDで表示されちゃう。荒くぼやけた映像になってしまうので、もったいないなと感じるんです。一方、4K UHDディスプレイで出力できるConceptD CP3なら、そうはなりません。

さらに、負荷の高いワークロード用に設計されたConceptD 500は、60fps3の映像でもさくさく動いて、作業効率があきらかに変わったなと。60fpsで撮れば、たとえば被写体が4秒だけしかフレームインしなかったとしても8秒まで伸ばせるし、4Kで撮れば異物が入り込んだ部分を取り除くだけで済みます。そのように素材の汎用性を完全に生かしたまま、ストレスなく編集できるのが最高にありがたかったです。

編集するときは、素材は生かしつつ、肉眼でみた色を再現できるようにしていますね。その映像にもっと迫力を出したいとき、彩度を調整することがあって。たとえば、森林のじめっとした雰囲気を出すために、緑色を濃くしたりだとか。ただ、Camofで撮った映像と、一眼レフやドローンなどの映像をつなぎ合わせて、1本の映像として構成していくため、複数のカメラで異なる色味を調整する必要があるんです。いわゆるカラーコレクション4ですね。このとき、色が鮮やかに出力されるConceptD CP3だと、思い描いた色にフィーリングでがんがん色調整できるし、ノイズもすぐにわかるので最終的なアウトプットの作業効率が高くなりました。

――作業に没頭できるんですね。最後に、これからの目標を教えてください。

今回のテーマをビジネスモデルに落とし込んでいければ、楽しくてやりがいもあるなと思っています。石以外のモノにも擬態させたカメラアクセサリーも作りたいですね。今は新しく、360度撮影できる「木」に擬態させたカメラも作っています。視点が1箇所に固定される石型カメラだと、「ここで撮影したいのに」と思うタイミングで、動物が画角の外に出ちゃうんですよ。視点を変えられる木型カメラであれば、そうなることはなく、動く生き物を逃すことなく画面の中心で捉えられます。それが完成すれば、生き物を画角から逃さずに撮影できるでしょう。

究極の目標は、このカメラを使って、アフリカで野生の生き物たちを撮影することです。動物により近い視点での映像を、撮影や研究をしたい人たちが気軽に撮れる。今まで一般化されていないこの技術の研究を続けて、世界ではじめてのロボットカメラシリーズを作れたらな、と。映像を通して、一人でも多くの人が生き物を興味の範疇に入れてくれたらいいなと思っています。

プロフィール

プロフィール

Genta Odagiri / 小田切元太
デジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科4年生。3DCGを学びたいと考え、同大学に入学。2017年5月からフリーランス、2018年5月からは陸上や空中、水中などの撮影を専門とするAlternativemovie合同会社(現、Brightron)の立ち上げ、その代表を務める。
Facebook:
https://www.facebook.com/profile.php?id=100011735863969

  1. イギリスの動物ドキュメンタリーテレビシリーズ。自然の生き物を撮影するためにロボット型をした動物を制作。そのなかにカメラを仕込んで動物のなかに潜入させ、動物のありのままの姿を撮影している。
  2. 被写体の目元や口元、手、足などが画面全体に入ったショットのこと。
  3. fps=秒間フレームレート。60fpsでは1秒間の動画で60枚の静止画を見ることが可能。
  4. 映像の色彩を補正する作業。各ショットの色彩を統一させる。
ConceptD CP3

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